お初天神通り商店街の入り口に立つと、近松門左衛門の名作「曽根崎心中」のヒロインである「お初」が出迎えてくれます。
日本のシェイクスピアと呼ばれ浄瑠璃や歌舞伎の名作を残した人物です。
1653年から1725年、72歳で没するまで数多くの名作を生み出しました。「曽根崎心中」「国性爺合戦」「平家女護島」「女殺油地獄」「心中天網島」など300年経った今でも歌舞伎や文楽で上演。心中ものが多く、これらの作品が流行った時には「心中」が社会現象になるほど問題になりました。「曽根崎心中」「女殺油地獄」などは映画化されています。
ここからお初天神まで300メートルです。この通りは、お初天神への参道とも言える場所で、商店街内には飲食店やお土産屋が軒を連ね、賑やかな雰囲気が広がっています。
お初天神通り商店街の雰囲気。飲み屋など飲食店がとても多いです。昔からのお店も結構残っているようですね。
イラストのデザインコンペがあったようで、大賞作品が飾られていました。よくみると梅田のスカイビルや観覧車なども書かれてます。
商店街を進んでいくと、ビルの隙間に神社の入り口が見えてきますが、こちらは裏門なので表に回りましょう。
地元の人には「お初天神」という名称で親しまれてますが、正式な名称は「露天神社(つゆのてんじんじゃ)」です。近松門左衛門 曽根崎心中のヒロイン「お初」にちなんでお初天神と呼ばれるようになりました。
この露天神社は、1,000年以上の歴史を持つ古社で、新しい天皇の即位儀式「難波八十島祭」旧跡の一社であると言われています。今では縁結び・恋愛成就のパワースポットとして人気の神社です。
社殿は戦中に焼失したため、戦後昭和32年に造営竣工したものです。平成に入ってからは社務所・参集殿・正門・鳥居などを造営したよう。
社務所の前にあった「露ノ井」浪速七名水の一つで貴重な水源だったようです。
お初天神といえば、恋人の聖地と言われ曽根崎心中のお初と徳兵衛が永遠の愛を誓った場所です。
曽根崎心中は、天満屋の遊女お初と醤油屋の徳兵衛が実らぬ恋の末、露天神社の天神の森で心中する物語です。実話であり、この事件を聞いた近松門左衛門が一気に脚本を書き上げ、事件の一ヶ月後には竹本座で曽根崎心中を上演したと言われています。すごいスピード感ですね。
この神社は「恋人の聖地」としても知られ、大阪では梅田スカイビルと並んで選定されています。ただし、その由来は「曽根崎心中」の物語にあるもので、実際には物語の展開に縁のある場所と言えるでしょう。物語に登場するお初と徳兵衛が、永遠の愛を誓った場所として親しまれています。という一般説明では聞こえがよいですが、実際は片方が相手を刺殺し、その後に自分を刺して情死するというなんともセンセーショナルな事件が起こった場所です。「プロポーズにふさわしいロマンティックな場所」っていうのは物語の観点からはちょっと違和感を感じますね。
二人寄り添った銅像に余計に胸を打たれますね。
商店街で見たデザインコンペの作品がありました。手前にはハート。夜になったらLEDが光るようです。

カップルや夫婦が愛について考えたり、語り合うきっかけになったりする場所なのかなと思いますね。そういう意味では「恋人の聖地」ってのはありですよね。
何十年も前に作られた古い映画をちょこちょこと見たりするのですが、その中でもこの曽根崎心中(1978年公開)はかなりのお気に入り。美しくも残酷で愛の究極の形。情念のお初を演じた梶芽衣子がとにかく凄まじいです。
露天神社
